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福岡高等裁判所 平成元年(ネ)573号 判決

控訴人 有限会社エス・ディ・エー建築設計事務所

右代表者代表取締役 牧野裕三

右訴訟代理人弁護士 松本伸一

被控訴人 冨田憲朗

〈ほか一名〉

右両名訴訟代理人弁護士 千場茂勝

主文

一  原判決中、被控訴人冨田憲朗に関する部分を次のとおり変更する。

1  被控訴人冨田憲朗は控訴人に対し、金四〇〇万円及びこれに対する昭和六〇年一一月一九日から支払い済みまで年六分の割合による金員を支払え。

2  控訴人の被控訴人冨田憲朗に対するその余の請求を棄却する。

二  控訴人の被控訴人冨田寿憲に対する控訴を棄却する。

三  訴訟費用は、控訴人と被控訴人冨田憲朗との関係では、第一、二審を通じてこれを二分し、その一を控訴人の、その余を同被控訴人の負担とし、控訴人と被控訴人冨田寿憲との関係では、同被控訴人に生じた控訴費用を二分し、その一を控訴人の、その余を各自の負担とする。

四  この判決の第一項の1は、仮に執行することができる。

事実

一  控訴人は「原判決を取消す。被控訴人らは控訴人に対し、各自金四〇〇万円及びこれに対する昭和六〇年一一月一九日から支払い済みまで年六分の割合による金員を支払え(当審にて減縮)。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決及び金銭請求部分につき仮執行の宣言を求め、被控訴人らは「本件各控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

二  当事者双方の事実上の主張及び証拠の関係は、原判決二枚目表一行目の「八月」とあるを「七月ないし八月」と、同三枚目裏五行目の「各自七五六万円」とあるを「取得した金七五六万円の内金として各自金四〇〇万円」と各訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これらを引用する。

理由

一  控訴人が建築設計管理業等を目的とする有限会社であることについては、当事者間に争いがない。

二  本件の事実関係について

《証拠省略》によれば、次の事実が認められる。

1  被控訴人冨田寿憲は、熊本県小川町及び鹿本町に二つの病院と一つの診療所を経営する医師であるが、更に、昭和五七年六月ころ、実子である被控訴人冨田憲朗が翌五八年には大学の医局勤務を終えて帰省する予定であったことから、一緒に医業をすべく、同被控訴人と共に、小川町に隣接する竜北町に新たな病院を医療金融公庫からの融資を受けて建設することを企画した。そこで、被控訴人寿憲は、かねてから医療機器の取引があった訴外園田進一(有限会社園田機器の代表者)に、新設病院の医療機器を同会社から購入する条件で、その敷地の土地購入、同公庫からの融資、建築確認などの諸手続等右計画実行のための全面的、全般的協力を求め、同人の承諾を得た。なお、被控訴人らは、医療金融公庫の融資を受ける関係で被控訴人寿憲が年齢的に資格制限を受けることから、病院建築主を被控訴人憲朗とすることにした。

2  そこで、右依頼を受けた園田は、同公庫からの融資手続については、知人の吉永某に協力依頼をしたが、建築設計関係については、同人を介して紹介された病院の建築設計に経験のある控訴人会社の代表者牧野裕三に対して、本件建築計画の概要を話し、その設計関係を担当して欲しい趣旨の話をした。牧野は、勿論異存はなく、これに乗り気で控訴人会社として是非担当したい、被控訴人寿憲を紹介してくれと云ってこれを承諾した。よって、本件病院建築計画実施については、園田を中心として右三名によるプロジェクトが組まれた形となった。

3  控訴人代表者牧野は、昭和五七年六、七月ころ、園田に紹介されて被控訴人寿憲と面談した。その際、牧野は同被控訴人から、一〇〇床程度の病院を建てるのでよろしく頼む旨告げられ、また、竣工予定も翌五八年二、三月ころと聞かされた。牧野は、右の話を口頭での契約依頼の趣旨と受取り、右竣工予定時まであまり期間もないことから、早速控訴人社員二名をこれに専従させる体勢をとり、その一〇日後から設計業務を開始させた。

4  園田は、同年七月二一日付をもって、被控訴人憲朗名義で医療金融公庫融資に必要とされる県知事の証明願い(これには配置図や平面図等の図面が添付され、右各図面は控訴人において作成したものが提出された。)を熊本県に提出した。

他方、敷地の購入は被控訴人寿憲名義であることとし、園田は、同被控訴人とともにその交渉を進めた結果、同年八月七日、原判決別紙物件目録記載の田二筆(計四〇一八平方メートル)につき、売主との間の売買仮契約が締結され、手付金三〇〇万円が支払われた。右が仮契約に留まったのは、右土地が農業振興地域の整備に関する法律に基く同振興地域にあり、病院敷地に転用するためには農振地域整備計画の変更により同地域からの除外(計画変更)を必要とし、その除外を受けるためには、病院建設に必要とされる排水施設許可のための関係漁協など近隣関係者の承諾を得ることが前提とされ、これらの除外や承諾を得て初めて右売買の目的が達成されるからであった。従って、同仮契約においては、右の二条件の成就により契約が成立する旨の特約条項が設けられた。売主やその仲介をした町議会議員らは、同被控訴人らに対して、右除外が必ず可能である旨強調し、同被控訴人もその旨信じた。

そこで、園田は、同年八月一二日付で農振地域除外を竜北町役場に申出るとともに、関係者に排水設備許可の承諾を得るための対策も講じた。牧野も、関係機関の審議等に出席して建設計画を説明するなどしてこれに協力をした。また、同一七日には、控訴人は、少くとも園田の了解のもとに、右敷地の現地測量を行った。

5  昭和五七年八月二〇日、牧野は、被控訴人寿憲経営の一本松診療所で、園田及び吉永らとともに、再度、同被控訴人と合って、本件病院建設について話合いを持った。その際もまた、同被控訴人は、吉永に建築費二・七億円の融資の件を依頼し、牧野には設計の方を頼む趣旨の話をした。更に、設計監理料についても話題となり、牧野が右建築費用総額の四・五パーセントを主張し、同被控訴人が従前の他の病院建築時のとおり三・五パーセントでと主張し、園田の四パーセント案で話が落着き、そのうちの七〇パーセントを設計料相当とすることとした。右の経緯から、牧野は、改めて設計依頼があったものと受取った。なお、牧野は、同被控訴人らから、農振地域除外等について危惧するような話は聞かされず、むしろ病院だから大丈夫と聞かされ、これまた除外、転用が可能と思い込んだ。

6  控訴人は、前記のとおり設計作業に入るとともに、各関係業者に衛生設備、冷暖房設備、汚水処理施設、電気工事、厨房設備等の工事見積書や資材見積書の作成を求めたほか、建築確認に必要な構造計算や本件敷地の地質調査を外注し、同年八月から一二月にかけてこれら書面の提出を受けた。

そうして、同年一二月ころには、建設確認に要する設計図書が出揃い、これに右構造計算書を添付して建築確認申請書が整えられ、あとは農振地域除外の決定を待つばかりとなった。

7  建築を実施するのに必要な全設計(「実施設計」といわれる。牧野は当然この実施設計の依頼を受けたものと理解していた。)のうち、建築確認書に添付すべき設計図書はその七割を占め、その余は細部図面等でディテールと称されるものである。これら設計についての被控訴人ら側との打ち合わせについては、牧野は殆ど園田と行い、特に後記のとおり建築を断念した直前の昭和五八年三月一日ころまでの間、ディテールにつきかなり詳細で具体的な打ち合わせをしている。

8  しかし、申請から半年を経過するも、地元医師会の反対が背後にあって、病院からのし尿排水についての関係漁協の前記承諾が得られないため、農振地域除外が実現せず、昭和五八年三、四月ころに至り、被控訴人らも、前記土地での病院建設を断念した。なお、昭和五九年に入った後も、被控訴人寿憲は、牧野の案内で建設候補地を二ヶ所見て回ったが気に入らず、結局同年になって右建設計画全体を最終的に断念した。

9  被控訴人寿憲は、牧野の請求により、昭和五八年三月、前記地質調査を行った外注会社に同費用三五万円を支払った。同被控訴人は、その理由について、「何ヶ月先には建ち始めると思っていて、最終的には必要と思ったからである。」旨供述している。また、構造計算を外注した会社には、控訴人がその報酬として三〇万円を支払った。

しかし、その後、控訴人が被控訴人寿憲に本件設計料の支払を求めるも拒絶され、本訴提起に至ったものである。

以上の事実が認められる。

右認定に反して、《証拠省略》中には、牧野の設計請負の申出に対して、本件敷地予定地の宅地転用が許可され地主と本契約が正式に出来れば、設計依頼を考えてみる趣旨の供述等が存するが、前記計画実行、ことに建設確認や公庫融資手続等にも設計図面を要することや竣工予定時期が迫っていたこと、被控訴人寿憲自身も、園田や土地の売主の言葉を信用し、また、これまでの三回の農地転用による病院建築がスムーズに実行されたことなどから、本件の場合も農振地域除外と農地転用が十分可能と考えて、その計画実施に踏みこんでいた事実(前記各認定事実、同被控訴人の供述等により認める。)等に照らし、信用しない。その他右認定を左右するに足りる証拠はない。

以上の事実関係を前提として、控訴人の各主張について、以下に判断する。

三  設計監理契約の成否について

控訴人は、主位的に、被控訴人憲朗の代理人同寿憲との間に、請求原因2(一)、(二)記載のとおりの病院建設設計契約(以下「本件設計監理契約」という。)を締結した旨主張する。

しかし、右の事実関係に徴し、未だ右契約の成立を明確に認定、推認することには躊躇を覚えざるをえない。何故なら、前記認定事実に照らせば、本件建築計画は総額二・七億円もの規模の事業であったし、双方で話し合った設計監理料は約一〇〇〇万円を超える高額であったのに、口頭で設計を頼む趣旨の会話がされた程度に留まり、契約書や念書ないし合意書等右契約の成立を証するに足りる客観的文書は何等作成されていないこと、本件建築予定地が農振地域内にある農用地であったから、同土地を病院敷地とするためには、同地域整備計画の変更により同地域から除外され、その上で農地法五条に基く宅地転用許可を得ることが不可欠の要件であったこと、被控訴人寿憲もこのことを十分承知し、同敷地の取得については、その売買の合意に達するも本契約までせず、右条件の成就を本契約成立に関する特約事項として明記する仮契約の締結に留めていたこと、控訴人の代表者牧野においても、同敷地が右のような条件におかれていたことは十分了知していたものと推測されること(《証拠判断省略》)などに徴すると、控訴人代表者の牧野においては、被控訴人寿憲や園田の言動から契約の申出の趣旨と受取ったとしても、少なくとも被控訴人寿憲においては、正式な契約締結は前記農地転用等の条件が成就して後との気持であったものと推認され、従って、両当事者間においては、本件設計監理に関する本契約締結の合意までは至っていなかったものと解するのが相当である。

そうすると、本件設計監理契約の成立を前提とする控訴人の被控訴人憲朗に対する主位的請求並びに被控訴人寿憲に対する主位的及び予備的請求は、その余の点を判断するまでもなく理由がない。

四  被控訴人憲朗に対する予備的主張―商人の報酬請求権(商法五一二条)の主張―について

1  商法五一二条は、商人がその営業の範囲内で他人のためある行為をしたときは、費用の償還請求のほか、相当の報酬請求権を有することを定める。右行為は必ずしも委託などの契約関係に基く必要はなく事務管理としての行為もこれに含まれるものと解される(尤も、事務管理としてした場合には、他人の委託などがないのであるから客観的にみても他人のためになす意思をもってなした行為と認められる場合であることを要する。)。更に、事務管理が成立するためには、義務なくして他人のために他人の事務の管理を開始すること、その開始にあたり本人の意思に反し、又は本人に不利なことが明らかでないことを要件とする(民法六九七条、七〇〇条参照)。ここに他人のためというのは、実質的には他人の利益のためということであるが、しかし、その行為が結果として現実に他人の利益になったか否かは問はないものと解すべきである。尤も、事務管理においても管理者に善管注意義務をもって管理行為をすることが要求されるから、事務管理の開始後、管理行為が他人の意思に反し、又はその他人に不利なことが明らかとなったときは、右管理を速やかに中止すべき義務があることになる(民法七〇〇条参照)。

2  これを本件についてみるに、前記認定のとおり、控訴人は建築の設計監理業務を目的とする有限会社であり、控訴人が行った本件病院の建築設計行為は、それが委託ないし契約に基くものではないとしても、他人である被控訴人憲朗の病院建築のために行ったことは明白であり且つ控訴人の営業行為に属することも明らかである。

本件における問題は、本件病院の敷地予定地であった農用地の宅地転用許可を得られず、結局、控訴人の建設設計が無為に帰し、結果として右設計が被控訴人らの利益に帰することがなかったことから生じたものといえる。しかし、前述の事務管理成立の要件に照らせば、結果として被控訴人らの利益にならなくとも、控訴人が、被控訴人らの意思に反し又はそれらに不利なことが明らかであったのに、敢えてした行為でない限り、控訴人の事務管理の成立が否定されるものではない。従って、本件では右の点を問題とすべきものと思われる。

3  しかし、この点につき先に結論を述べるならば、前記二に認定の本件事実関係、殊にこれらに現れた次の各事情を考慮するとき、本件においては、本件設計行為が被控訴人らの利益のために、その意思に添って開始され継続されたものとして、右の問題ひいては事務管理の成立を肯定的(但し、一部否定的であることは後述)に判断するのを相当とする。即ち、

(一)  被控訴人憲朗から全てを一任されていた同寿憲は、度々控訴人代表者の牧野と会って本件設計を依頼するかのような発言をしてきており、本件病院建築計画を断念するまで、これを取消す趣旨の発言をしたこともない。同被控訴人は、右計画実施のための融資実現や建築設計等に関しての具体的行動は、医療機器販売納入業者であった訴外園田にほぼ包括的に委ねていたため、控訴人としても同被控訴人と設計内容の交渉を直接にはしなかったが、委任されていた園田とこれをし、その交渉は昭和五八年三月ころまでの約九ヶ月間も続けられた。

(二)  被控訴人寿憲も、かつて農用地であった敷地に病院を建築した経験が三度有り、いずれもその転用が出来たことや、本件土地も右転用は容易であるとの売主や仲介者の言もあって、これが結局は可能となると考えていて、設計作業が行われることを容認していたものと推測される。このことは、前記二、9の事実からも容易に推測可能である。

(三)  本件建築の竣工時期は既に予定され、控訴人にもこれを告知されたが、右竣工までさほど期間もなく、本件病院建築計画実行のために予定していた医療金融公庫からの融資を受ける手続、建築確認申請手続等を直ちに行う必要があり、関係者はその行動を速やかに開始すべき状況にあった。そこで、被控訴人寿憲は、園田に右計画の実行着手を指示し、同人に敷地の獲得を、更に、控訴人会社の牧野と前記吉永に対して、右各手続等のための協力を依頼したもので、竣工時期に間に合うようこれら手続を併行して行う段取りをとったものである。そして、これら手続には、控訴人が作成する設計図書の添付が当然必要とされ、殊に、建築確認申請手続においては、詳細且つ精密な設計図面や建築構造計算書の添付を要するものであり、これらは建築実施に必要とされる設計図書の七〇パーセントもの図面等に相当し、そのために、控訴人において特別の費用と時間を費やしてこれらを作成、準備する必要があったし、構造計算や地質調査など外部発注して準備するものもあった(従って、見積書や設計略図等社会通念上無償でなされる行為を遙に凌駕するものである。)。被控訴人寿憲も、右の事情をかつて三度の病院建築経験から十分了知していたはずであり、しかも、右各手続の併行実施の指示ないし協力依頼をしていることからすれば、控訴人が右設計図書の作成に着手していたであろうことを当然知っていたと推測される。然るに、全証拠を検討するも、被控訴人らが控訴人に対して、右設計等に反対の意思を表明したり、中止を申出るような行動に出た事実を認めるべき証拠はない。

被控訴人寿憲は、牧野に対しては農地転用等が実現してから本件設計依頼を考えてみようと云ったに過ぎず、右設計が着手されていたことなどは考えてもみなかった趣旨の供述をするが、右に照らし信用できない。

(四)  被控訴人らが竜北町の本件敷地での病院建築計画を断念したのは、昭和五八年三、四月ころであり(前掲証人園田は、右断念を牧野に告げたのが同年二月七日ころと証言するが、前記二、8に認定のとおり、園田は同年三月にも牧野と設計の詳細につき打ち合わせをしていること、同年三月三日には地質調査料が支払われている事実に照らし、信用しない。)、本件建築確認申請のための設計図書が作成されたのは、遅くとも前年の一二月であった。従って、少なくとも、建築確認申請に必要な右各設計図書については被控訴人らが右病院建築計画を断念する以前に作成されたものであり、被控訴人らの意思、利益に反して作成されたものとは云えないことが明らかである。

4  以上に照らせば、本件においては、控訴人の本件設計行為は、被控訴人寿憲ひいては同憲朗の意思に則って、その利益のためになされたことは明らかであり、ただ結果としてその利益が同被控訴人に帰属しなかったというに過ぎず、従って控訴人の本件病院建築主たる被控訴人憲朗に対する事務管理ひいては商法五一二条による報酬請求権の発生は否定し難いものと思われる。

尤も、事務管理は、その継続中そうすることが他人の意思に反し又はその利益に反することが明らかとなった場合には、速やかに右管理を中止すべき義務あるものと解されることは前述のとおりである。本件では、控訴人が被控訴人らにおいて本件建築計画を断念したことを知ったのは、前記事実から昭和五八年三、四月ころと推定されるところ、本件建築のため必要とされる実施設計のうち、建築確認申請に要する設計図書については、前記認定のとおり昭和五七年一二月中に作成されていたことが明らかであるが、その余の詳細図(ディテール)については、これらが右断念を知った時期以前に作成、完了したことを明らかにするに足りる証拠はないし、本件提訴に至るまで、控訴人から、被控訴人らはもとより園田に対してすら完成されたこれら図面が提出されたり、見せられたりしたことを認め得る証拠はない。

従って、控訴人の被控訴人憲朗に対する本件報酬請求権は、全設計の七〇パーセントに相当する部分(建築確認申請に要する設計図書)についてのみ発生したものと解されるところ、牧野と被控訴人寿憲との設計監理料についての前記合意(総建築費用の四パーセント、その内設計料は七〇パーセントとする旨。)をも資料として請求しうべき額を算定すると、次の算式により金五二九万二〇〇〇円となる。

二億七〇〇〇万円×〇・〇四×〇・七×〇・七=五二九万二〇〇〇円

五  よって、控訴人の被控訴人憲朗に対する請求は、予備的主張である商法五一二条に基く報酬請求として右同額及びこれに対する商事法定利率による付帯請求の限度で理由があるところ、その内金請求額である金四〇〇万円及び右付帯請求の限度においてこれを認容し、その余は理由がないものとして棄却すべきところ、これと一部結論を異にする原判決を主文第一項のとおりに変更し、被控訴人寿憲に対する請求はすべて理由がなく、本件控訴も理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について、民事訴訟法九六条、九五条、九三条、八九条、九二条を仮執行の宣言について同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高石博良 裁判官 川本隆 牧弘二)

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